子どもたちがそれぞれの仕事に慣れてきた頃、お店には「孫娘の姿を見に来た」というおばあさんの姿が。11月のワークショップでは、「おじいさんやおばあさんにカキを食べてもらいたい」という声が多く上がっていました。カキを購入し、「ちょっと緊張してたわ」とほほ笑むおばあさん。夢をかなえた女の子は、どこか誇らしげでした。
午前11時を回ったところで、予定通り作戦会議に入ります。この時点で売れたカキは40kg。1時間足らずで、ほとんど売り切れてしまいました。役割分担を交代し、気付いた点を確認してから販売再開です。
新しく営業を任された子どもには頼もしい先輩がついてゆき、お客さんにクイズを出す際もつきっきりで見守っていました。
カキはすぐに売り切れるかと思いきや、お昼を前に会場全体で人が減少。新しくお店に立った子どもたちは、しばらくそのままお客さんを待っていましたが、やがて声をそろえて呼び込み作戦を開始しました。
「せーのっ」「いらっしゃーい!!」「せーのっ」「いらっしゃーい!!」
「0.5kg 1000円 1kg 2000円」とだけ書かれた価格表も見直しへ。「0.5kgは6~7こくらい」「1kgは14こくらい」と、わかりやすくカキの個数を書き足していきます。
「もう売り切れますよー!」
「あと少ししかありませーん!!」
「いらっしゃーい!!!」
子どもたち全員の努力が功を奏し、12時15分には完売。全員で拍手し、最後のカキを買ってくれた家族と記念写真を撮影しました。
この日の利益は約10万円。経費を差し引いても、無事に全員が当初設定した0.5kgずつカキをゲットできる金額です。午後の日差しを受けてキラキラと光るカキを、子どもたちがうれしそうに袋へ詰めてゆき、その様子をお父さんお母さんが温かいまなざしで見つめていました。
閉店後も、カキを求めてやって来るお客さんの姿がちらほら。完売したことを伝えると、「このカキはどこで買えますか?」と尋ねる人もいました。
今回のミッションは、詫間カキの魅力を多くの人に伝えること。仲間との結束を深めること。返礼用カキをゲットすること。ミッションは無事に遂行できたようです。
この日の体験が、いつまでも子どもたちの胸に残りますように――。NPO法人イドバタでは、今後も豊かな海を未来へつなぐ、さまざまなプログラムを企画・開催していきます。
※魚市場や水産加工の工場や現場を「子どもたちに見せてもいいよ」という地域の事業者様を探しております。ご賛同・ご協力いただける方々のご連絡
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