朝から強い風が吹き付けていた、11月23日。この日は20人の子どもたちが参加し、漁師さんへの質問をふせんに書いてから、カキ出荷場の中へ入りました。
集まった質問に答えてくれたのは、カキ漁師歴20年の渡辺守さんと、出荷場が作られた当時からカキ漁を行ってきた楢崎トシミさんです。楢崎さんは74歳で、最近漁を引退したばかり。「子どもも、ここで大きくなったようなもんで!」と豪快に笑います。
「カキはいつが一番おいしいの?」「どうしておいしいの?」
「1回の漁で何kgとれるんですか?」「夏の間は、何をしてるんですか?」
質問の内容は、カキのことから漁師さん自身のことまで、多岐にわたりました。
「カキが一番おいしいのは2月。『海のミルク』と言われるくらい、ミネラルが豊富だからおいしい。今年は気候の影響で40~50kgしかとれていないけど、普通なら1回で100kgくらい。ほとんど全部の作業が大変なので、休みがとれる夏は朝から晩まで、布団から出ません!」
茶目っ気たっぷりの渡辺さんに、子どもたちも、お父さんお母さんも笑顔です。
質問コーナーの後は、出荷場の外にある作業小屋へ移動。海から引き揚げたばかりのカキには、フジツボがたくさん付着しているため、この小屋でフジツボを取り除いています。今回は実際の機械を使って、子どもたちもフジツボ取りを体験させてもらいました。
「結構、力いる!」「めっちゃ汚れる!」
研磨器をカキに当て、前へ前へ。渡辺さんと楢崎さんの指導を受けるうちに、少しずつ茶色いフジツボが削られてゆき、カキの白い殻が見えてきます。「昔はウロコ取りの道具で叩いとったんよ。今の機械の方がずっと楽や」と目を細める楢崎さん。
体験を終えた子どもは海をのぞき込んだり、地面に落ちたロープを不思議そうに見つめたり。詫間のカキは、ホタテの貝殻に種付けされた状態で広島から届くので、それをロープに固定し、海で成長したら機械を使ってロープから外して、フジツボ取りの作業に入ります。
機械の横に散らばったたくさんのカキを見て、一人の子が「中入っとん、これ?」と声を上げました。「入っとるよ」と言いながら座り込んだ渡辺さんは、カキとカキを次々とぶつけてみせます。「音が違うやろ? こうやって見分けていくわけよ」。
渡辺さんがカキを持ち上げ、「これは?」と尋ねると、「入っとる!」と叫ぶ子どもたち。
「これは?」「入っとる!」「これは?」「入ってない!」
次第にギャラリーは増えていきましたが、そろそろ移動の時間です。出荷場の前で集合写真を撮影し、渡辺さん、楢崎さんとお別れしました。
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